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鎌倉とジャズの架け橋 牧野晃一さん

色あせない生き方

牧野晃一さんのお宅にてインタビュー

 鎌倉のレジェンド

昨年(2017年)までに5回、鎌倉で開催された音楽の祭典『鎌じゃず祭』。

『鎌じゃず祭』は毎回約1000名近くの観客が集まり音楽に酔いしれる鎌倉ならではのイベント。

 

鎌倉とジャズのつながりにおいてなくてはならない人物が牧野晃一さん(75)。

時には遠くを懐かしむように、時にはきらきらとした未来を待ちわびるように、言葉ひとつひとつ染み入るような声でインタビューに答えて頂きました。

 

 

鎌倉を代表するパン屋さんのひとつ、KIBIYAベーカリーや、コアなファンも多い小町通りのジャズクラブダフネ、いづれも地元に根差した名店ですが、牧野晃一さんは、それらのお店の前身であるイタリアンクラブレストランKIBIYAを創ったオーナーです。まさに激動の鎌倉を駆け抜けてきた地元のレジェンドです。

貴重な雑誌(Photo:Shinichi Deguchi)

運命を導いたジャズクラブの扉

生まれも育ちもずっと鎌倉。

祖先をたどると江戸時代から徳川家に譜代大名として仕えていたところまで、なんとなく調べて分かったので、約400年は鎌倉にいたんだろうな・・・。

 

雪ノ下で祖父と母親が製綿工場を営んでいました。父親を3歳の時に亡くし、いずれ長男の自分が家業を継ぐことは至極当然だと思って過ごしていたと言います。

 

まばゆいばかりのアメリカやヨーロッパの文化が日本に入って来た頃で、特に湘南地域は進んでいたこともあり、若い頃はヨットやバイク柔道などのスポーツそして音楽を満喫した青春時代だったといいます。

 

ハワイアン、カントリーなどを始めたのが15の時。

東京に住んでいた年上の従姉に連れられて行った、ジャズクラブの扉を開き、衝撃が走ったのが17の時。

そのジャズバーは、音楽だけではなく後の人生を通して追求する様々な興味にむすび付いてゆきました。

 

 

例えば、衝撃を受けたジャズクラブの名前がギリシャ神話のダフネだということを知り、ヨーロッパ古典へのあこがれも強くなりました。

ダフネとはギリシャ神話に出てくる悲劇に見舞われた女神の名前。

人間(神様)関係が複雑で奥深い神話の面白さにどんどんのめりこんでゆき、後に自分が開業するジャズクラブの名前も「ダフネ」と付けています。

2004年には『ご隠居と八っつあんのイリアス「トロイ戦争」 牧野晄一 著』という著書を出版されます。

ご隠居と八っつあんの軽快なやり取りが複雑なギリシャ神話をグッと身近に紹介した内容です。

 

また、ヨーロッパ調のアンティークな家具にも夢中になりました。デザインを上手に取り入れながらテーブルやイスを始め、扉などの建築資材も作ってしまう腕前で話題になりました。

ついには雑誌の取材を受けDIYブームの先駆けに!

創作活動はさらに油絵、彫刻、デザインに広がり芸術家としての才能を開花してゆきます。

 

 

人生を変えた2つの出会い

人の生い立ちや人生の成長期はやっぱり持つべき友達によってすごく変わってくるんだな

お互いに影響し合える唯一無二の親友がいました。中学生の頃は、一緒に映画を観たり、アメリカンPopsを聴いたり、机を叩いてドラムの真似をしてリズムを取ったりして、一緒にいれば楽しくて何でも気が合う友達でした。

 

友人は成長するにしたがってより芸術性の高い才能をみせました。

親友と心の絆が深まるにしたがって、生きることと、芸術を追うことのバランスに揺れたこともありました。

 

親友はぶきっちょで真っすぐにしか生きられない真の芸術家でした。

自分には家業を継ぐという軸があったことで、社交性を持ちながら芸術と関わって生きていく素質があると、親友の人生から気づかされたそうです。

自分が今も芸術と共にあるのは友人との出会いが大きいと話してくれました。

 

 

家業の製綿工場が時代の流れと合わなくなって撤退を選択しなければならなくなりました。

憧れだったジャズクラブを作りたいと思っていたのですが、ジャズがまだまだメジャーな音楽ではないことや、鎌倉でジャズが好きな人はほんの一握りという中で、まったく無謀な挑戦だと分かっていました。そんな時地元の仲間が後押しをしてくれて不安と期待の中KIBIYAを開業。

大きな転機となったもう一つの出会いは、六本木で流行っていたイタリアンレストランニコラス(日本で最初に「ピザ」を紹介した)の人気シェフです。友人に紹介してもらい即決で招きました。シェフと一緒に厨房に入りKIBIYAのピッツァを始め人気メニューを開発しました。美味しい料理にお酒そして生演奏の音楽体験のウワサが一気に広がり、KIBIYAはたちまち大人気店になりました。

 

それから約30年間KIBIYAは鎌倉で青春時代を過ごした団塊の世代の方々にとって思い入れの深いお店として記憶されています。

お庭には孫たちに作ったシーソーや鉄棒

ジャズって

ジャズは言葉で伝えるものでは無くそれぞれの感じ方にゆだねられるものでありますが、あえてジャズの魅力について話して頂きました。

 

ジャズの醍醐味はアドリブやスリルのあるセッションであるといいます。

演奏者が心の中で編曲し自分なりに作り上げるのが近代ジャズのセオリーだと。

 

 

ジャズはファッションなどと同じで時代の流行を繰り返すだけのたわいのないものですよ。

どんなに変わってもジャズは心の表現であることには変わりない。

 

一方、科学や物理は際限なくどこまでも先へと進もうとしている。便利だといって誰もがなんでも受け入ちゃう。それってとっても危険なんじゃないかと思う。

と牧野さんはいいます。 

 

ジャズは音やリズムを通して人と人とのコミュニケーションを磨き上げる音楽だと思いました。

 

普段なかなかアドリブの効いた生の演奏を聴く機会がない方も、鎌じゃず祭は子どもからお年寄りまでみんなが気軽に参加できます。

 

次回の鎌じゃずは10月20日(土)材木座にある浄土宗の寺院光明寺で開催される予定です。

ジャズの聴き方、向き合い方を少し変えて、秋の抜けるような空の元、心に刻むジャズの祭典に出かけてみてはいかがでしょうか。

 

最後に、これから挑戦してみたいことを牧野さんに質問をしました。

さんざんバイクもヨットもやったけど、やっぱりもう一度バイクに乗ってみたいよね。

後ろに見えるのが家具製作などをする工具がある小屋